
スーパーマーケットに行くと、予定していた以上に買い物をしてしまうことはありませんか? それは単なる気の迷いではなく、店舗側の緻密なマーケティング戦略が影響している可能性があります。
スーパーは、消費者心理を巧みに利用した陳列方法を駆使し、売上を最大化する工夫を随所に施しています。本記事では、スーパーが仕掛ける「つい買ってしまう」戦略をマーケティング視点で分析し、どのように購買意欲を引き出しているのかを解説します。
これを理解すれば、自分のビジネスにも応用できるだけでなく、日々の買い物で無駄遣いを減らすこともできるでしょう。
1. スーパーマーケットのレイアウト戦略
スーパーの店内レイアウトは、顧客の購買行動を最大化するよう設計されています。ただ商品を並べているわけではなく、「買い物客をどう動かすか」を計算し尽くしているのです。
入口付近に生鮮食品を配置する理由
スーパーに入ると、まず目に入るのは新鮮な野菜や果物、鮮魚や精肉コーナーではないでしょうか? これは、「新鮮で健康的な食品が豊富にある」というイメージを与え、購買意欲を高めるための戦略です。
また、入口ですぐにカゴをいっぱいにさせることで、「買い物をしている実感」を持たせ、追加購入を促す効果もあります。
回遊性を高める導線設計
スーパーマーケットのレイアウトは、自然と店内を一周するように作られています。例えば、日用品や乳製品、パンといった「必需品」を店舗の奥に配置することで、そこにたどり着くまでに他の商品が目に入り、つい買ってしまう仕組みになっています。
さらに、カートを押しながらスムーズに移動できるように、通路の幅や棚の高さも計算されており、滞在時間を延ばすことで購買点数を増やす狙いがあります。
2. 陳列による心理トリック
スーパーの陳列方法には、人間の無意識の行動を利用した巧妙な仕掛けが数多くあります。
ゴールデンゾーン戦略
商品棚の中でも、「目線の高さにある棚」は最も売れると言われています。このゾーンを**「ゴールデンゾーン」**と呼び、スーパーはここに利益率の高い商品や売りたい商品を配置します。
逆に、特売品やお買い得商品は下段に置かれることが多いですが、これは意図的にしゃがませて、「他の商品にも目を向けさせる」ための戦略です。
セット販売で関連商品をつい購入
たとえば、パスタの隣にトマトソース、餃子の皮の隣にひき肉が置かれていることはありませんか? これは**「クロス・マーチャンダイジング」**と呼ばれる手法で、関連商品を並べることで購買率を上げる戦略です。
この手法を活用すれば、自社の商品やサービスでも「セット販売」を仕掛け、単価アップにつなげることが可能です。
POP広告で購買意欲を刺激
商品の価格表示だけでなく、「今だけ特価!」「◯%増量中!」といったキャッチコピーが書かれたPOP(店頭広告)も心理的な影響を与えます。
POPは「情報を与える」だけでなく、「お得感を演出する」「購買を後押しする」といった役割を果たします。これはオンラインショップやSNSマーケティングでも応用できるポイントです。
3. プライシングの戦略
価格設定も購買行動に大きな影響を与える要素です。スーパーでは、次のようなテクニックが使われています。
「9」や「8」で終わる価格設定
1,000円よりも、999円のほうが安く感じることはありませんか? これは**「チャーミングプライス」**と呼ばれる手法で、「3桁の数字を見ると、最初の1桁で判断する」という心理を利用しています。
お得感を演出するセット価格
「1個100円だけど、3個で250円」といった価格設定もよく見られます。この手法は**「バンドルプライシング」**と呼ばれ、客単価を上げるために活用されています。
4. レジ周りの誘惑
買い物が終わってレジに向かうと、そこにも戦略が仕掛けられています。
レジ前の商品は衝動買いを狙う
チョコレートやガム、小さな日用品がレジ前に並んでいるのは、「待ち時間の間につい手に取ってしまう」ことを狙ったものです。
また、子どもが手に取りやすい高さにお菓子を置くことで、「子どもがねだる→親がつい買ってしまう」という流れを作る戦略もあります。
5. スーパーの戦略をマーケティングに応用する方法
スーパーの陳列戦略は、ECサイトや実店舗のマーケティングにも応用できます。
1. 視線誘導を意識したサイトデザイン
ECサイトでも「ゴールデンゾーン」を意識し、目立たせたい商品をページ上部に配置することで購入率を高めることができます。
2. セット販売で客単価を向上
スーパーのクロス・マーチャンダイジングのように、「この商品を買った人はこんな商品も購入しています」といったレコメンド機能を活用すると、売上向上につながります。
3. ポップアップや期間限定キャンペーンの活用
「今だけ!◯%オフ」などのポップアップやカウントダウンタイマーを設置することで、スーパーのPOPと同様に、購買意欲を高めることが可能です。
まとめ
スーパーマーケットの陳列戦略は、単なる「見た目の工夫」ではなく、人間の心理を巧みに利用したマーケティングの塊です。
これらの手法を理解し、ビジネスや集客に応用することで、売上アップにつなげることができます。
また、消費者の視点で見ると、「無駄遣いを防ぐために知っておくべきテクニック」とも言えるでしょう。
次回スーパーに行った際は、これらの戦略を意識しながら買い物をしてみてください。今まで見えなかったマーケティングの「仕掛け」に気づくことができるはずです。